過食症と過食嘔吐 心の声を聞いて

食べたいけど食べたくない。普通に食べられない。
過食症になってからのみなさんの体験談をまとめました。

過食症になってすべてを失った

女性 会社員 36歳 神奈川県
私は約3年前、会社での理不尽な人事異動と、人事異動を機に知り合った人とのお付き合いをきっかけに、拒食症になりました。
もともとぽっちゃりだったので、拒食で痩せていっても、ちょうどいいくらいにしか思わなくて、ほとんど食事はできないのに、運動不足になるのが恐くて、雨の日にもカッパを着て毎日5キロジョギング、腹筋背筋を朝と夜に100回ずつ、という毎日を送っていました。
生理もとまって服も下着までもブカブカになっても、食事はできませんでした。
食べると罪悪感に襲われ、バナナ一本食べただけで満腹感を感じ、食べ過ぎたと思うと気持ち悪くなって吐いてしまっていました。
その時は、自発嘔吐ではなく、気持ち悪くて吐いてしまう状態でした。
そして今から1年半くらい前から、会社帰りに立ち寄った100均のお店の、たった一つのスイスロールから過食症が始まりました。
その時も拒食症は続いているので、甘いものを食べた罪悪感から嘔吐していましたが、最初はスプーンをのどに入れて吐いていました。
1年半ほどとっていなかった糖分と油脂分は私の脳に麻薬のように働きかけ、もっともっととエスカレートしていきました。
体重は40キロを切って、生理もとっくにとまっているのに、太るのが恐く、でも栄養分も何もかもカスカスになった体は、もっともっと食べたくて、過食嘔吐はエスカレートしてきました。
初めのころは週に数回、菓子パン数個で1回の過食費500円くらいだったのが、相談直前では1日に2~3回、1回の過食費1000円くらいになりました。
1日に3000円前後、5000円近く吐くために食べる食べ物に費やすこともありました。
そして、自発的に、吐くために食べるようになった私は、最初はスプーン、そのうち指1本で吐いていたのが、指2本突っ込んで吐くようになりました。黄色い胃液が出るまで。
そのうち、指を使わなくても吐けるようになりました。
でもそのせいで、顔はむくみ、耳の下が膨らんでえらが張り、目の周りはいつも内出血し、時には眼球も内出血して赤い点々が出ていました。
歯並びがよくて、白いのが自慢だった歯も茶色くなり、口の中が透けるくらい薄くなって、ちょっとした衝撃で欠けるようになり、ボロボロです。
母が、「あなたのニッコリ笑った顔がかわいい」と言ってくれていた笑顔、もうできません。
お母さん、ごめんなさい。私を許して。こんな私を許して。
お付き合いしていた人は、ほんとは好きじゃなかったのに、情で付き合うことになり、結果的にボロボロにされて終わりました。過食嘔吐も激しくなり、体重は34キロにまでなりました。
過食しなくても、ほんのちょっとでも、野菜やこんにゃくですら、食べた物はすべて吐き、脳が栄養不足で精神状態も恐ろしく不安定になり、もう完全な狂人でした。
体力が落ちすぎで、会社も休職して、同棲を始めていたその男性とも破談になり、行くところもなく、実家に戻りました。
でも両親は、私を「わがまま病」「ぜいたく病」と思って理解してくれませんでした。
だんだん母はわかってくれるようになりましたが、父はいまだに理解してくれず、私とは口もきいてくれません。
私の存在そのものを無視されています。
家庭の事情より、今年の春に実家を出ることになりましたが、拒食の症状は依然残っていて、野菜や玄米など、吐かずに食べられるものも増えてなんとか復職していますが、私にとって「禁断の食べ物」「悪魔の食べ物」である「パン」「お菓子」「揚げ物」を、私の脳は欲していて、糖分と油脂分の多い食べ物を過食嘔吐するこの状態は、続いています。
私が実家にいた1年の間に、父は鬱病になり、母は乳がんになりました。
私が原因かどうか、因果関係は分かりませんが、私が両親に与えたストレスは、計り知れなかったと思います。
私は過食症になって、すべてを失いました。
大事な人たちみんなを不幸にしました。
もう失うものは、私の命しかありません。
でも相談するまで、私にとって命は全然大事なものではありませんでした。
ご先祖様から代々受け継がれた私の命、私の体なのに。
私は自分を虫けらだと、クズだと、消えてしまうべき存在だと思っていました。
自分を粗末にし、痛めつけ、ゴミとして扱っていました。
吐くくせに、太るのが恐いくせに過食はやめられず、電車の中や歩きながらもパンやお菓子を食べ、駅やデパートのトイレで吐いていました。
カバンの中には嘔吐用にと、いつも2Lのお水のペットボトル。
いつも誰かに見られてる、うわさになってるのでは、私の過食症をみんなが知っていてあざ笑い軽蔑してるのでは・・・周囲の視線にビクビクしていました。
この惨めで醜い過食症と決別したいです。拒食も過食も、いいことはひとつもありません。
やせても太っても、私は私でしかない。
世界中の誰もが私を受け入れてくれなくても、私だけは私を受け入れなければ。
でも実際は、たくさんの人が、私を愛してくれている。
私がいるだけで、喜んでくれる人たちがいる。
今、私を一番いじめてるのは、私自身です。
もうこんな生活は嫌。普通の私に戻りたい。