過食嘔吐の大き過ぎる代償
女性 無職 31歳 O型 石川県
13年間、隠れて過食。隠れて嘔吐。
部屋で吐き、部屋に嘔吐物をためた。嘔吐物臭かった。
お風呂で吐き、トイレに毎日顔をつっこんで吐いた。
お母さんに見つからないように。
お父さんに見つからないように。
彼氏に見つからないように。
大量に買い物する姿を知り合いに見つからないように。
見つからないように、ビクビクするようになった。
最初は菓子パンで満足できたのが、それじゃ満足できなくなった。
美味しいお肉が食べたくなって、あたたかい料理が食べたくなって、自分で大量に作って食べるようになった。
ごはんを我慢してたから、ごはんを食べたくなった。
6合炊いて、カレーを作って、肉を焼いて、シチューも鍋に一杯作って、ケーキを買って、和菓子屋さんで季節のお菓子を買って、食べて吐いて食べて吐いて、最初はおいしい。
そのうち食べたいのか美味しいのかどうでも良くて、ただ、口に入れた。
毎晩、お腹は生まれる寸前の妊婦さんのように丸くふくらんだ。
太るのが怖くて、必死で吐いた。
吐けない日もたくさんあった。
どれだけ指を入れても吐けない。
お腹にはいってるのに、ちっとも吐けない。
怖くて、怖くて、泣いた。
毎日私はむくんでた。
毎朝、二重が、一重になった。
すごい後悔が襲っても、夕方にはスーパーへ自転車を走らせる毎日。
万引きをするようになった。
毎日万引きするようになった。
食料品ばかり。
万引きが見つかった。
五千円くらい、肉団子やお惣菜、お弁当、お菓子、菓子パンなんかを万引きしようとした日だった。
警察に連れていかれた。
実家に電話させられた。
お母さんに泣きながら、謝った。
北海道で一人暮らししていた私は、迎えにきてくれる知り合いがいなくて、アパートの大家さんが迎えにきてくれた。
大家さんとふたり、万引きした袋一杯の荷物を持って、警察からアパートまで歩いた。
その日も、わたしは、その万引きしたものを過食した。
後日、警察署で、しもんをとられた。
しもんをコンピューターに記録させられて、思った。
私は犯罪者だ。
情けなかった。
たくさん、ウソをついた。
過食している途中に電話がくると、電話に出なかった。
気付かなかったと、ウソをついた。
遊びにくるという友達や先輩や彼氏、すきな人に、いつもウソをついた。
誘ってくれる友達に、いつもウソをついた。
太っている人をみて、見下していた。
過食の為にお金が必要だった。
私は、ヘルスで働いた。
実感がなかった。
自分の堕落っぷりが「ドラマみたい」と笑えた。
デリヘルでも働いた。
お金をもらい、その足でコンビニでたくさん惣菜とお菓子を買って、食べて、デリヘルの待合室に使ってたマンションのトイレで吐いた。
デリヘルでは、優しくしてくれる男性をみつけた。
もちろん不倫だった。
優しくしてくれる、可愛いといってくれる、痩せてて完璧だねって褒めてくれる人に甘えて、「好きになった」とウソをついた。
優しくしてくれる人、可愛いといってくれる人なら、誰でも良かった。
いとんな男の人とBARで出会って、寝て、別れた。
さみしかった。
好きになっても、求めるばかりで、相手を束縛して、そのうちすぐにダメになった。
男性に依存している。
アルコールにも依存している。
過食嘔吐に依存している。
食べること、酒を呑むこと意外に時間を使えない。
趣味がない。
食べることしか考えてない。
会社で、人の顔色ばかり気にしていた。
女の先輩に嫌われるようになった。
頑張って笑った。
毎日の過食1万円を超えるようになり、生活は破綻した。
うつ病になった。
会社へ行かなくなった。
実家に強制送還になり、ひきこもりになった。
父親には、「こうなったのは、あんたのせいだ」とののしった。
毎日泣いた。
手首を切った。
ウイスキーに焼酎を入れて飲むようになった。
毎日泣いた。
誰かに優しくしてもらいたくて、がんばって、むちゃなダイエット。
絶食に加えて、毎日プールで3キロ泳いだ。
プールでは、毎日足がつった。足がつっても、サポーターをして、毎日3時間泳いだ。
20日ほどで、15キロは平気で落ちた。
やせて、男と寝た。
55キロの体重は、一ヶ月の過食で平気で75キロになる。
ネットで知り合う男の人が好きになれば、無茶なダイエットをした。
そのくりかえし。
彼氏とはいつも長くは続かない。
生理がこなくて産婦人科へ行ったら、妊娠はしてなかった。
ついでに癌検診もしてくれた。
子宮に腫瘍が見つかった。
悪性ではなかったけど、検診はかかせない。
性病にもなってた。
クラミジアだった。
全部、過食症のせい。
青春と、お金と、人格を、過食症のせいで失っている。