過食症と過食嘔吐 心の声を聞いて

食べたいけど食べたくない。普通に食べられない。
過食症になってからのみなさんの体験談をまとめました。

出産すれば治るという幻想

妊娠、出産と過食
女性 主婦 38歳 東京都
1度の流産の後、すぐに双子を妊娠した。
待ちに待った子供!
つわりがひどく、どんどん体重は落ちていった。
今までどんなに吐いてもなかなか落ちなかった体重が、
簡単に落ちていくので嬉しかった。
お腹の子供の事は大切だけど、自分の体重が気になった。
そんな自分に違和感を感じていた。
多胎妊娠のため、7ヶ月目から管理入院を余儀なくされた。
出産予定日1週間前にウィルスに院内感染し、
高熱と全身の激痛の末、緊急帝王切開で子供を出産。
その際に心不全と肺水腫を併発し、生死をさまよった。
医師にも誰にも告げなかったが、過食嘔吐による低カリウム血症で、
心不全を起こしてしまったのでは?と感じていた。
真相は定かではないが…。
出産後は妊娠前に比べ10kgも体重が落ちていた。
退院後は予想通り激しいリバウンド。
過食嘔吐の日々だった。
とにかく感じたことのない空腹感。
母乳もあげているので、なおさらお腹がすく。
双子の育児だったので、自分の時間を持つことなんてできないし、
睡眠時間すらもままならない生活。
楽しみは食べることしかなかった。
お腹ぺこぺこで「いただきま~す」と言った瞬間に、
どっちかの子供が泣きだす。
まるで私の楽しみをわざと奪おうとしているのでは?と思わせるほどのタイミングで邪魔をする子供に、愛情は感じなかった。
自分より大切な存在であることは間違いないのだけど、
子供を産む前に想像していた、
心の底から「かわいい~」と思える感情は湧いてこなかった。
子供が生まれれば、忙しくて過食嘔吐は治ると思っていた。
子供がかわいくて、子供のためなら過食嘔吐も治せると思っていた。
しかし、それはすべて幻想だった。
それどころか、更にひどくなるばかり。
ついに鬱にもなってしまった。
食べ吐きの一連の行為の途中で、子供に中断されると、
言いようのない苛立ちと罪悪感で、腹を立てたこともあった。
大切なわが子よりも食べ吐きを優先している自分に、
罪悪感を感じていた。
でもどうしたらよいのか分からなかった。
夫にも、心配掛けたくないので、言えなかった。
とにかく子供には絶対悪影響の無いように、
細心の注意を払って食べ吐きをしていた。
子供の前では、良いママでいたかったから。
そのおかげか、子供はとっても明るくて元気な、
子供らしい子供に育っている。
でも私が気付いていないだけで、どこかで感じているのかもしれない。
ママの異常な行動は、見せていないつもりでも、
勘の良い彼らの事だから感じるものはあるかもしれない。
大切な家族のためにも、自分のためにも、
今ここで、治すために目をそらさずに
頑張りたいと思っている。