過食症と過食嘔吐 心の声を聞いて

食べたいけど食べたくない。普通に食べられない。
過食症になってからのみなさんの体験談をまとめました。

過食が元で苦しんだ16年間

女性 30歳 愛知県

私は今考えてみると、小学生のころから、過食をしていたと思います。
小学6年生の頃から、ぐんぐん太り始めました。

中学に入って、保健体育の時間に、肥満についての授業があったときには、みんなが私のことだと思って笑っていると思い、恥ずかしくてしかたありませんでした。

中学2年のときダイエットを決意し、帰宅後、少し寝てから家族と夕食の時間をずらして夜中まで勉強するということを口実に、ひとりで夕食をとることにして、こっそり食事を捨てていました。

体重はぐんぐん減り、保健室の先生に呼び出されたりしましたが、痩せたことがうれしくてしかたがありませんでした。

いつ過食嘔吐に移行したのかははっきり覚えていませんが、痩せてまもなくだったと思います。
吐きかたも、どのように知ったのか、覚えていません。
しかし、お腹がぱんぱんになるまで食べ、風呂場で洗面器に吐き、トイレに流しに行ったりしていました。

また、学校では中学、高校と、いじめをうけました。
特に顔のことで、いじめられていました。
母にも、妹ふたりはかわいいのに、なんであんたはそんな顔なの、とか言われていました。
性格についても、妹ふたりは素直で明るいのに、なんであんたは…という感じでした。

わたしは、家庭と学校での経験から、自分が、見た目も醜く、心もゆがんだ人間だという思いにとらわれざるをえませんでした。

高校時代も、電車の途中の駅で降りて、コンビニでお菓子を買い、電車の中で食べて、家でも食べて、吐くということを繰り返していました。

大学は、いままで自分をいじめてきた学校の同級生とは、絶対に同じところには進みたくなかったし、新しい土地、誰もわたしを知らない土地に行きたかったので、さいわい私は受験勉強は得意だったので、猛勉強し、他県の国立大学にすすみました。

そこで、私は、自分と決別し、呪われた過去と決別するため、大嫌いだった顔を整形手術で変えることを決意しました。

20歳の誕生日を過ぎてまもなく、整形手術をうけました。
鼻にプロテーゼというものを挿入して高くする手術でした。
その後3カ月くらいは、幸せそのものでした。
顔が変わったということが、過去の呪われた自分と決別できたということでした。

しかし、それもつかのま。
今度は、過食嘔吐でぼろぼろになっていた歯のかぶせものがとれて、かみ合わせが狂い、口もとが出っ張って、見た目まで変わってしまったのです。

私は絶望しました。
思いつめて整形手術をしたのに、その数カ月後には、くちもとが醜く変わってしまったのですから。
神様がわたしにもう生きるのをあきらめろと言っているのだと思いました。

わたしはうつ病になっていました。
毎日泣いていました。
薬を大量に飲んで自傷行為をしました。
死ぬことばかり考えました。

そんな私の状態をしって、父と母の私への対応が変わりました。
私は、整形したこと、かみ合わせが狂ったことを両親に話しました。

過食嘔吐についても話しました。両親は変わっていきました。
父は態度をあらため、母は、わたしに優しくなりました。
その頃過食嘔吐していたかは覚えていません。

しかし、また問題がおきました。
鼻に入れたプロテーゼが、皮膚をつきやぶって出てきそうになったのです。
今度は取り出す手術を受けました。
母がつきそってくれました。
手術はものすごく痛かったです。

しかし、その後、父、母の理解によって、心はある程度安定しました。
しかし、歯のかぶせものがとれて顔が変わった事件は、トラウマとなりました。

大学卒業後、昼間働きながら、夜間の絵の学校に通いはじめたのですが、歯のトラウマが、いつも心にありました。
過食嘔吐もやめられませんでした。

そして1年がたつころ、統合失調症を発病し、閉鎖病棟に入院させられました。
私が悪いこと、つまり過食嘔吐をすることによって、世界に災害が起きるという妄想にとらわれたため、約1年間過食嘔吐がストップしました。

しかし退院し、妄想がとれてくると、またすこしずつ過食嘔吐するようになりました。

今は、通院しながらアルバイトをしていますが、過食嘔吐が歯に悪いことを身にしみて知っているのに、なかなかやめられません。

歯のかぶせものがとれてかみ合わせが狂って、顔まで変わってしまうというトラウマからも、逃れられません。

しかし、今、相談をはじめて、過食はストップしています。
完治の未来に、顔かたちにとらわれずに生きている自分を描いてみたことで、トラウマも少しおさまっています。

16年間を振り返って、本当に長くなってしまって申し訳ありません。
今は絶対この病気を治したいという決意と、4日間ストップしていることへの、スタッフの方がた、一緒に治療をしている方がたに感謝の気持ちでいっぱいです。