過食症と過食嘔吐 心の声を聞いて

食べたいけど食べたくない。普通に食べられない。
過食症になってからのみなさんの体験談をまとめました。

妊娠という環境の変化は、過食嘔吐が治る理由にもきっかけにならない

妊娠と過食嘔吐
女性 主婦 35歳 神奈川県
初めての妊娠。
子供がほしくて頑張っていた人にとっても、
予想外だった人にとってもそれはとても大きな出来事です。
家族が増える、生活が変わる、体が、心が変わる。
人生まるごと変わっていくような出来事に、
不安とそれ以上の期待を抱えて妊娠生活がスタートします。
入学、就職、結婚、引越などの環境の変化に負けない、
あるいはもっと大きな変化。
それは妊婦の体が内側から変わっていくこともあり、
体調だけでなく考え方まで驚くほど変化します。
過食嘔吐なんて【当然、自然に治る】と思っても不思議はないでしょう。
私もその一人でした。
根拠のない「そのうち治るだろう」という妄想、幻想。
今まで何度となく体験してきたことでしたが、
残念ながら妊娠した時もそれは繰り返されてしまいました。
なぜなら過食嘔吐の原因は「環境」ではなく、
「ずっと抱えている心の奥深くにある怒り、悲しみ」であると考えるからです。
インナーチャイルドという存在もそう。
病気の核に向き合い、治療を試みなければ、
いくら表面上の環境ばかりが変化しても症状は決してなくならないし治らない
経験ある方も多いと思いますが、
どんなに僅かな時間でも狭い場所でも過食(嘔吐)したい時は
どのようにしてでも、するものなんです。
それが妊婦になっても同様に起きた。それだけのことでした。
妊娠して思うように動けない、今までやっていたスポーツができない、
不安で眠れない日が増える。
昼間1人でいる間、食べ物を買い込んでテレビやPCを見ながら好きなだけ食べて
思い切り吐くのが何よりの楽しみでした。
日本は妊娠中の体重管理に異常と言えるほど厳しいです。
週単位で何キロ増加まで、検診のたびにグラム単位で注意する医師もいたり。
欧米から見たら妊婦にプレッシャーをかけストレスを与え、
様々な命令をすることの方がよほど体に悪いと言われるでしょうが、
日本では産後の体型戻しのことまでも口うるさく言われるのが当たり前になっています。
私は長年過食嘔吐によって体重をコントロールしてきたつもりでしたが、
妊娠した後も雑誌やネットなどで最低限の体重増加しかしていない
妊婦の情報を「絶対」と信じ、
「医師などに注意されることなど、絶対あってはならない、
そんな無礼なことを言ってきたら病院を変えなくてはならないし、
そうならないためにも食べたら吐かなければならない」と思い込んでいました。
厄介なことに、罪悪感がほとんどありませんでした。
それどころか、体重管理を頑張っているのだから、
本当はだれかに誉めてもらいたいのにとさえ思っていました。
8か月、妊娠後期になってからです。
さすがにお腹がかなり大きくなり、
嘔吐する時にとても苦しくなってきました。
物理的にお腹がつかえて苦しいというのと、
吐いた後に疲れきってしばらく動けなくなり、
胎動も暴れているように感じて苦しいという2つの苦しさがありました。
ここまでやり続けて、ようやく「もしかして、このまま出産まで、
いや出産後も当たり前のように過食嘔吐しているのではないか?
そもそも、何故今までこの行為を正当化していたんだろう??」と思ったのです。
激しい胎動はもしかしたら、赤ちゃんからのSOSだったのかも知れないと思うと
突然血の気が引く思いがしました。
今更かもしれないけれど行為にのめりこんでいる時は
別の何かがとりついているかのような状態で、
正しい思考など全く現れなかったのです。
【妊娠という環境の変化は、過食嘔吐が治る理由にもきっかけにならない。】
少なくとも自分はそうだ。
そう気付いた時、このサイトを探して相談をしました。
同じように妊娠、あるいは子育て経験のある先輩ママさんの経験談をたくさん読んで、
怖いと思ったと同時に、「怖いと思えたこと」に感謝しました。
そして、一人じゃないことを初めて悟り、
癒さなければならない病気の核であるインナーチャイルドの存在を認め、
初めて本当に立ち直りたいと思うことができました。
臨月を迎え、今心から願う事は自分のところを選んでやって来てくれた子供に、
自分のインナーチャイルドをぶつけるような事は絶対したくないという事です。
自分が両親から与えられた不安、憤り、憎悪、儚い期待と裏切りを
繰り返したくありません。
【妊娠という環境の変化は、過食嘔吐が治る理由にもきっかけにならない。】
もう一度書かせてください。
そして、本当に怖い、
治すならできれば早い方がいいという危機感を持っていただけたら幸いです。