過食症と過食嘔吐 心の声を聞いて

食べたいけど食べたくない。普通に食べられない。
過食症になってからのみなさんの体験談をまとめました。

怖い過食症になって

35806 過食症になって 2006/10/10 22:50
女性 主婦 24歳 O型 東京都

まず、大切な出会い、チャンスを失った。人に会うのが怖くなる、
一人でいたい、だから今10年振り返るとほとんど何も思い出せない。
一人の世界でこっそり食べて吐く記憶だけ。

修学旅行さえさぼった。学校もうまくさぼってた。
集中力が無くて勉強は手に付かない、得意だった絵もじっと座って描くのが苦痛になった。
好きな色、好きな人、好きな服、好きな事、全て判断できなくなった。
日曜日も苦しい日になった。だって何がしたいかわからないんだもん。
一生懸命服を選んで、気分を盛り上げる為にお化粧して、靴を履いた。
玄関で2時間動けなかった。
なんとか家を出たら、黒い靴下の左右の濃さがすこーーしだけ違うって気がついた。
心がざわざわしはじめた。100m進んだところで動けなくなった。
どこに行きたいかわからないよ。電車に乗って、私が好きな筈の美術館に行けばいいのに、すぐそこの映画館に行けばいいのに、動けない。
このまま帰ったら、1日食べちゃうよ。こわいよ、こわいよ。
本当に動けなかった。一人公衆の面前で、鼻水垂らしながら泣いた。
平日の朝、通勤の人たちが皆見てるのに、どうにもできなかった。
この日の事は、今でもよく覚えていて、時々思い出す。広い世界にぽつんとひとり、動けない自分。
過食症は、私をこんなところに引っ張ってきちゃった。
まず一番つらいのは心です。生きている事、自分が自分であること、ただ、今存在している事が苦しくなる。
365日、24時間、1分1秒が苦しい。
次につらいのは身体です。疲れている時ほど、何故か余計に身体を酷使ししようと歪んだ心が働く。過食嘔吐が激しくなって、身体が休めのサインを出しているのに、素直に従えなくなる。
全身の倦怠感、胃から来る背中の痛み。
ひどい時は夜、必ず悪夢にうなされて、自分の叫び声で目が覚めた。
落ち着いてまた眠りにつくとまた叫んでは起きて、ついには寝る事が怖くて、寝ない為にテレビ、音楽、電気、全部付けてた。無呼吸で苦しくて目が覚めたり、不眠症になったこともある。
多分これは嘔吐によるミネラルバランスの問題だったと思う。
今は必ずスポーツドリンクやバナナなどカリウムを含んだものを補うように気を付けているし、病状も当時よりは良いのでこういうことは比較的減ったけれど。
次に、金銭的な問題。私は経済的に完全に自立できた事がない。
以前は両親、今は夫に頼ってる。
ひどかった時は、アルバイトで稼いだお金12万をほぼトイレに流していて、親にも言えず、お財布に5円しか無い状態で過ごした。
小麦粉を水で練って砂糖醤油で食べたりしてなんとか過食嘔吐した。
友達にお金を借りた。平気で借りてた。友達が忘れたのを良い事に、返さずに済ませた。平気だった。
万引きした。過食費が無くて、紙袋にさりげなくお菓子をストンと落として、100円のガムを買ってレジを通った。上手く行った。

私は、まじめに育てられました。ポイ捨てする人を注意するような子でした。
万引きなんて私には本当に無縁だったんだよ。
自分が居なくなっていく。病気に乗っ取られてた時が確かにあった。
恐ろしい、と今も思う。

大学進学も諦めた。今は稼ぐには肉体労働しか残ってない。
進学校だった高校の同級生は、皆6大学を出て、良い会社に勤めて、お給料をもらって、自分を磨いてきれいになった。お洒落になった。
中学生から働いていた私は、高校の時も他の子たちよりお金があって、着飾る事が出来たし、年齢より大人びたことを覚えて、皆から羨ましがられていた。
今はこつこつと頑張って来た皆の大逆転。
虚しさ、恥ずかしさが込み上げる。
落ちこぼれ、ドロップアウトしたような後ろめたさがこころのどこかに植え着いてしまいました。
10年かけて失った自信を、自分を取り戻すのにいったいどれくらいかかるんだろう。
24歳の10年は重いです。